映画版グリーンホーネット

アチョーーーー

怪鳥音

ブルース・リーの『アチョーーーーー!』の叫び声は、怪鳥音(かいちょうおん)と呼ばれています。なんでもシアトル時代に他の流派から挑戦を受けた時に試して発したのが最初とも言われています。実際のファイトシーンで発するあの叫び声です。香港映画界では、声優の吹き替えが一般的になっていて、『燃えよドラゴン』以外の出演作は全て吹き替えですが、怪鳥音だけはブルース・リー自身の声です。

武道家として

ブルース・リーが正式に門下に入ったのは詠春拳(えいしゅうけん)だけですが、北派の中国拳法も数多く研究していました。『グリーン・ホーネット』のオーディション映像では、演舞している姿を見ることができます。そこでは虎の型、流の型などは即興で行ったそうですが、スーツ姿ながら素早い動きでとても即興でしたとは思えない出来栄えです。そして即興でした虎の型や流の型はどの中国武術にも存在していません。

1964年(昭和39年)当時は、無名状態のブルース・リーは、カリフォルニア州オークランドで開かれたルールのない非公式の格闘試合に出場しています。

その時点ですでに詠春拳の黒帯を取得していました。そして中国人武術化のウォン・ジャックマンを倒しました。相手を倒したことで、勝利を手にしたブルース・リーですが、勝利を喜ぶわけでもなくまるで敗北者のような表情で座っていました。息があがり脚は重く、対戦相手にはブルース・リーが繰り出したパンチやキックのダメージをさほど受けていない様子でした。相手をもっともっと早く倒すべきでもあり、もっとダメージを与えるべきだった。自分のパフォーマンスじゃだめだ・・と詠春拳の限界も感じていました。そして、自分自身のコンディショニングのレベル低さと筋力の低さを痛感した試合にもなりました。この悔しさをバネにして、ブルース・リーは新たなスタイルを確立する武術家へ、大きく変身を遂げていくことになりました。ブルース・リーの妻リンダは 「あの試合のあと、ブルースは筋力と持久力の強化にいっそう熱心に取り組み、彼独自の武術をつくり上げていったの。それが“ジークンドー”よ」話しています。そして当時、筋力トレーニングを取り入れた武道家などいない時代に、筋力トレーニングのアイソメトリック・トレーニング(アイソメトリクス)を積極的に取り入れていきました。

トレーニング

ブルース・リーは俳優として映画ビジネスの世界で活躍していきますが、多忙をきわめていましたが、たとえ多忙であっても武道家として修行を怠ることはありませんでした。海外ロケなどでしばらく自宅を留守にする時には、自分専用の運動靴を持参して、ロケ先でトレーニングを行っていました。

そして暇さえあればボールを繰り返し握って、握力向上の鍛錬を行いパンチをできるだけ早く打ち続けるトレーニングを行っていました。モハメド・アリのビデオをすべて所有して、トレーニングに利用していました。ブルース・リー自身はサウスポースタイルを基本としていたこともあって、オーソドックススタイルのアリのビデオを鏡に映して姿をまねて、その動きが本来の自分の動きになるまでトレーニングしていました。ブルース・リーの身長は『死亡遊戯』のパンフレットには163cmと記載されていますが、風間健は166cm、倉田保昭は167cm、リンダ・エメリーは170cmとそれぞれ証言しています。実際の所は170㎝弱ではなかったのでしょうか。パンフレットの163㎝よりはあったはずです。

そして体重は135ポンド(61.2キロ)です。見た目は見事に研ぎ澄まされた身体で、筋肉質です。そして映像でも分かるようにとにかく手や足の動きが俊敏です。筋力・スピード・そしてパワーと、ブルース・リーが活躍した時代を考えると、まだアクションスターなど出ていない時代です。まさにブルース・リーは、アクションスターの先駆者です。

思想

大学で哲学を専攻していたといこともあって、西洋だけではなく東洋思想にも精通していました。卒業論文では『Who is Bruce Lee?』を書いています。ブルース・リーは哲学を通して自分自身を客観的に内面を見つめていました。

Be water(水になれ)

Empty your mind.

心を空にするんだ。

Be formless, Shapeless, like water.

形を捨てて 水のように

If you put water into a cup, it becomes the cup.

水をコップに注げば 水はコップとなり

You put water into a bottle and it becomes the bottle.

水をビンに注げば 水はビンになる。

You put it in a teapot it becomes the teapot.

急須に入れれば 急須になる

Now, water can flow or it can crash. Be water my friend.

水は流れることも 砕くこともできる 友よ 水になれ

截拳道(ジークンドー)

ナポレオン・ヒルなどの自己啓発や哲人宗教家クリシュナムルティまでも研究していた。その成果は、截拳道の思想面に活かされています。截拳道のロゴマークには、以無法為有法 以無限為有限 と円と矢印が描かれています。意味は『無法を以って有法と為し、無限を以って有限とする』となっています。 スタイルのないのがスタイルで、無限であることが有限である。というブルース・リーの哲学に基づいています。そして「相手の拳(攻撃)を截(たつ、防ぐ、さえぎる)道(方法、ダオ)」という意味が、截拳道ですがこれには「敵を倒す」という武術としての側面を表すとともに「生きていく上で直面する障害を乗り越える方策・智恵」も示したものでもあります。

ブルース・リーはスタイルが無いのがスタイルという哲学のもとで、ルールに縛られないファイティングスタイルは自由な思想に大きく影響を受けています。そして自分が確立した截拳道もカテゴライズすることに、抵抗も覚えていたようです。実際にブルース・リー本人が、ブルース・リーの武術を教える時に「Jeet Kune Do」を看板として掲げることを許してはいませんでした。